農業インターンシップ・アスパラ編

前回、阿蘇高菜からのマスタード制作の物語を伺った翌日、1週間前に申し込んでいた7日間のインターンシップ体験を行うべく、阿蘇に向かった。

ついこの間まで、大学生にインターンシップについての説明してたのに、自分が体験学習することになった。

当日は、ちょうど年に一度の”野焼き”の日。

晴天の空から、野焼きで舞い上がった葦の灰が、どこからともなくフワリと降ってくる。

ここで体験するのは、施設野菜のアスパラガス。

アスパラはユリ科の多年草。なので、一度育成すると植え替えの必要がない。

初夏から秋にかけて光合成によって養分を地中にため込んだものが、春先からニョキニョキと姿を現し、9月下旬まで芽を出し続ける。

ちょうど春芽は糖度が高く、甘く高価だ。

先日、夜のテレビ番組で長崎の高級アスパラを扱っていた。

8本箱入りで”3000円”!

長崎は生産数では北海道、長野に続いて第3位。

4位佐賀で阿蘇は5位となる。

朝の5時からハウス内の伸び切った新芽を摘み取って、集荷場へ搬送するための箱詰めを終えると、スグに陽が高くなりハウス内の温度が上昇する。

ハウス中央に吊るされた温度計をコマメに確認し、40℃を超えない様、ハウス両サイドのビニールを開け閉めして温度調節を行う。

昼休憩で見過ごしたりすると、40℃オーバーの温室で一気にアスパラは焼けてしまう。。。

大体、30℃程度に保つ。

「そうなったらハウス内のアスパラは全滅」

だそうです。

で、午後1時くらいから2回目の摘み取りを行う。

朝の時点で摘むにはもう少しだったアスパラが、程良く伸びている。

『もの凄く、伸びる速度が早い』

どうも成長の速度は、温度よりも湿度に関係しているようで、昼食前に液肥と水撒きを行って閉め切ると、蒸し風呂状態のハウス内でニョキニョキと伸びていく。

もちろん、日光の具合に大いに左右されるが、蒸している状態でも常に温度確認 → 調整 をハウス間を歩き回りながら行っていく。

例えば”野焼き”のあった日は雲一つない快晴だったけど、阿蘇じゅうから立ち上る煙で霞んだ事によって、同じ快晴の前日より温度が低くなっていた。

どうしても圃場を離れないといけない場合は、ハウスの両サイドの開度を広げて、温度を下げていくそうです。

冷えすぎるって問題があるけど、”焼き付くよりマシ”ということで。

アスパラ栽培で自動化とか考えると、温室内の温度の自動監視、そして温度と連携して自動的に開閉する仕組みが普通思い当たるけど・・・

生き物を相手にする限り、最後に頼るのは、やはり人の感覚であるような気はする。

生産者の五感で記憶する

『温度』

『湿度』

『天気』

は、人から人へ受け継ぐことが出来ると思う。

AI以上に繊細に、完璧に。

受け入れ先の農家さんによると、

昔から、阿蘇の噴火口からヨナ(火山灰)が左下に滑るように流れる翌日は必ず雨となると言い伝えられているそうです。

*下の赤矢印に従って火山灰が流れ落ちる

カルデラの北側から南に向かって、阿蘇山・中岳を望む景色。

コメント

タイトルとURLをコピーしました